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北海道の地方の医療がいかにぎりぎりの状態で、現場の医師の献身的な活動で支えられているか、語ってくださっている先生がいらっしゃったので、勝手にまとめさせていただきました。
地方の医療事情はどこも似たり寄ったりとはいえ、北海道は特に冬季の移動が厳しい、という重い条件が付くだけに、第一線で支えてくださっている医師の皆様には頭が下がります。


まとめ

  • ①テレビの天気予報に登場する日本地図は、局や番組によっても違うが、南側から見下ろすような格好だったりそもそも不正確だったりして、北海道がやけに小さく描かれているものが多い。実際は北海道の面積は九州と四国を合わせたよりも大きいのだが、この事実を伝えると驚く人がいまだに多い。

  • ②北海道内の主要都市間も電車でせいぜい1時間もあれば移動できるなどと考えて、実際来てみて初めてあまりの広さと交通インフラの貧弱さに気づき愕然とする人も多い。道民はそんな、九州、四国の計11県よりも広い一つの県(道)に住み、必要があればこの広い大地を日夜移動しながら暮らしている

  • ③では実際道内主要都市間の移動はどのくらいかかるのか。道路情報サイトを参照すると、札幌から函館までは車で4時間弱、帯広は3時間、釧路までは5時間、北見は4.5時間。これは夏場の交通障害のない時に休憩なしで走り続けた際の数字で、実際冬場や休憩を考慮すればこれよりももっとかかる

  • 鉄道なら車より1時間程度の短縮が可能だったが、JR北 海道のトラブル続発で減速措置がなされたため、今は車と大差なくなった。空路なら各都市間を片道1時間かそれ以内で結ぶが、郊外に位置するものが多い空港 への移動時間や待ち時間は含まれず、また冬期間は雪による欠航の増加が問題になる。

  • 新幹線を使えば日本の三大都市圏を3時間足らずで行き来できる時代になっても、北海道では同じ道内の主要都市間の移動にそれ以上の時間がかかることもしばしばだ札幌から出張し、一日フルタイムで勤務するとして、前日や翌日に影響せず陸路で日帰り可能な主要都市は、旭川などごく一部に限られる。

  • 僕ら医師もこの広い道内で出張業務を日々こなしている。大きな都市であり大学病院もある札幌や旭川地区と、そこから遠い地方の中小都市や郡部とでは、人口あたりの医師数は最大3倍ほど違い、地方の医師不足は本当に深刻だそれを埋めるため都市の医師が出張という形で応援しているというわけだ。

  • 地方の医師や医療システムの疲弊はもう本当にギリギリの状態。一人の医師が退職したり病気等で倒れたりしたら、その時点でそこの医療機関や地域の医療システムが崩壊しかねないところなど珍しくない。昔のように大学の医局制度が機能すればすぐに代わりの医師が来たのだが、今はそれも期待できない。

  • 不便で厳しい環境に耐え、地域医療の第一線で最後の砦として日々体を張る医師達の重圧は相当のものだろうせめて普段は都会の生活を享受する僕もお手伝いをしたいが、先に述べた移動の負担は小さくない。冬場は特に。交通事故のリスクが増し、公共交通を利用しても大幅な遅延や予定変更があり得る。

  • 出張の時間的な、また心身にかかる負担は、結局都会で働く医師の常勤の職場にもじわじわと影響してくる。そうは言っても東京で決まる医療制度は基本的には全国一律で、地方の事情は考慮されない。交通網の整備が今後劇的に進むこともないだろう。きょうも多くの医師が過酷な長距離移動を強いられる。

  • 北海道の地方では今後ますます過疎化、高齢化が進み、何もしなければ医師不足もさらに進むだろう。都会の医師を地方に移せばよいという単純な話では解決せず、医療機関間の連携や地域の医療システムの再構築などにより、少ない医師で効率的な医療ができる方法を考えていかなくてはならないだろう

  • 医療水準の均てん化などの利点もあり出張を全否定するものではないが、将来像もなくただ不足する医師の穴埋め的な出張が増えるのは問題地域の第一線の医師も都会から応援する医師も疲弊しきってしまわないうちに、地域事情を考慮し患者さんが安心できる医療が構築されることを願わずにいられない。

  • JR北海道の特急列車スーパーおおぞら号で緊急輸送される血液
    厳しい北海道の冬。確実性が高いJRの特急列車が北海道の医療を支える。@sleep_sheep2010 http://t.co/1jC2zNBboO

  • キハ283系だと格納スペースが運転席か車販準備室か車掌カウンターのいずれかになりますから、車掌カウンターにおいています。@hirox0 @sleep_sheep2010